Nishimoto労務クリニック

大阪市西区の社会保険労務士法人西本コンサルティングオフィスがご提供する労務問題に関するクリニックです。 労務相談のセカンドオピニオンとしてもお気軽にご利用いただけるような場にしたいと思っております。

労働法一般

労働者派遣法改正法案 第189回国会へ再提出

話題の労働者派遣法の改正法案が、改めて国会に再提出されました。
3月29日現在、衆議院で審議中ですが、3度目の正直で可決成立に至るのでしょうか?
前回、国会に提出された法案と大きな違いはないように思われますが、法案の概要を確認しておきたいと思います。
労働局情報では、この今年平成27年9月1日の施行を目指すようですので、労働者派遣を実施されている事業者の皆さんは早めの対策を心掛けることが肝要と思われます。

本法案の目的ですが、派遣労働者の雇用の安定保護等を図るため、全ての労働者派遣事業を許可制とするとともに、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップ、雇用継続を推進し、派遣先の事業所等ごとの派遣期間制限を設ける等の措置を講ずる。

1.派遣事業の健全化

● 特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事業(許可制)の区別を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制とする。

2.派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ

● 派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップ、雇用継続を推進するため、以下の措置を講ずる。
① 派遣労働者に対する計画的な教育訓練や、希望者へのキャリア・コンサルティングを派遣元に義務付け
② 派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置
   ※(雇用を継続するための措置)を派遣元に義務付け(3年経過時は義務、1年以上3年未満は努力義務)

※ ①派遣先への直接雇用の依頼 ②新たな派遣先の提供 ③派遣元での無期雇用 ④その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置

3.労働者派遣の位置付けの明確化

● 厚生労働大臣は労働者派遣法の運用に当たり、派遣就業が臨時的・一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮する。

4.より分かりやすい派遣期間規制への見直し

● 専門業務等(いわゆる「26業務」)には期間制限がかからず、その他の業務には最長3年の期間制限がかかるが、分かりやすい制度とするため、これを廃止し、新たに以下の制度を設ける。
① 事業所単位の期間制限: 派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受入れは3年を上限
  上限を超えて受け入れるためには、過半数労働組合等からの意見聴取が必要
  意見があった場合には対応方針等の説明義務を課す
② 個人単位の期間制限: 派遣先の同一の組織単位(課)における同一の派遣労働者の受入れは3年を上限

5.派遣労働者の均衡待遇の強化

● 派遣元と派遣先双方において、派遣労働者と派遣先の労働者の均衡待遇確保のための措置を強化する。

6.検討規定

● 施行3年後の見直し検討に加え、
① 正社員と派遣労働者の数の動向等を踏まえ、能力の有効発揮と雇用安定に資する雇用慣行が損なわれるおそれがある場合は速やかに検討を行う。
② 均等・均衡待遇の確保の在り方を検討するため調査研究その他の必要な措置を講ずる。

● 施行期日: 平成27年9月1日

以上要約すると、主な改正点は次の通りと言えます。

① 労働者派遣事業の「許可制」への統一(特定労働者派遣の廃止)
② いわゆる26業務の廃止
③ 事業所単位の派遣期間の制限(いわゆる抵触日)の廃止と派遣労働者の個人単位での派遣期間の制限の設定(原則3年限度)

以上かなり大幅な改正になりますし、成立後は施行日まで準備期間が限られていますので、早めに対策(準備)を進められることを重ねてお勧めしたいと思います。

「過労死等防止対策推進法」が施行されました。平成26年11月1日

平成26年11月1日「過労死等防止対策推進法」がいよいよ施行されましたが、今一つ何をする法律なのかよく分かりませんので、法律の内容を少し、ご紹介したいと思います。

【目 的】
 近年、過労死等が多発し大きな社会問題となっていること及び過労死等が本人はもとより、その遺族又は家族のみならず社会にとっても大きな損失であることに鑑み、過労死等に関する調査研究等について定めることにより、過労死等の防止のための対策を推進し、もって過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的とする

【定 義】
過労死等
 :業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害

【基本理念】
過労死等の防止のための対策は、
①過労死等に関する実態が必ずしも十分に把握されていない現状を踏まえ、過労死等に関する調査研究を行うことにより過労死等に関する実態を明らかにし、その成果を過労死等の効果的な防止のための取組に生かすことができるようにするとともに、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、これに対する国民の関心と理解を深めること等により、行われなければならないこと。

 国、地方公共団体、事業主その他の関係する者の相互の密接な連携の下に行われなければならないこと。

【国の責務等】
国、地方公共団体、事業主及び国民の責務を規定

【過労死等防止啓発月間】
過労死等防止啓発月間(11月)を規定

【年次報告】
政府は、毎年、国会に、我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならないことを規定

以上の通り、本法律は過労死等の防止策として

①過労死の実体の調査研究
②啓発活動
③相談体制の整備
④民間団体の活動に対する支援
…を規定し、

国(政府)には、過労死等を防止するための対策に関する大綱を定めることを義務付けています。

今後、この法律が過労死対策の秘策になるのか、期待外れに終わるのかは分かりませんが、社会的問題へ一石を投じるものになったのは間違いないと思います。

また、従来から活動している遺族団体等の民間団体等に支援の手が差し伸べられるのであれば、それだけでも価値があるのではないかと思います。
今後の本法律の活用に期待したいと思います。

厚生労働省のパンフレット→http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000061175.pdf

平成26年10月20日よりマイカー通勤者の非課税限度額引き上げになりました。

所得税法の一部を改訂する法令が公布され、平成26年10月20日よりマイカー通勤者の非課税限度額が引き上げとなりました。
併せて新しく片道55キロメートル以上の区分が新設されました。
各区分毎の非課税枠は以下の通りです。

<改正後の非課税限度額>

片道の通勤距離            1か月当たりの限度額

 
2キロメートル未満                                   (全額課税)   
2キロメートル以上  10キロメートル未満       4,200円
10キロメートル以上15キロメートル未満       7,100円
15キロメートル以上25キロメートル未満     12,900円
25キロメートル以上35キロメートル未満     18,700円
35キロメートル以上45キロメートル未満     24,400円
45キロメートル以上55キロメートル未満     28,000円           
55キロメートル以上                      31,600円
 
就業規則・賃金規程等に「マイカー通勤者の交通費」を非課税限度額を基準にしている企業も結構多くあると思いますが、これによって交通費の額も改定すべきではないかというような議論が巻き起こるような気がしますね。

「官報」掲載の所得税法施行令の一部を改正する政令(338)→http://kanpou.npb.go.jp/20141017/20141017h06396/pdf/20141017h063960007.pdf#search

改正労働者派遣法が改めて臨時国会に法案提出されました。

春の通常国会で法案提出されながら、条文の記載ミスもあり審議すらされずに廃案となっておりました改正労働者派遣法が9月29日改めて法案提出されました。
法案の内容は、春の通常国会に提出された内容と同様で次の項目が改正内容になっているようです。

①特定労働者派遣事業の在り方について
②労働者派遣の期間制限の在り方等について
③派遣労働者の均衡待遇の確保・キャリアアップの推進の在り方について

施行期日:平成27年4月1日

以上の通り、大きな改正としてはまず「特定労働者派遣事業の廃止」と「労働者派遣期間制限の考え方の大幅変更」ということで、2回目の正直で今回は法案成立となるのでしょうか・・・

仮に、秋の臨時国会で成立となると施行期日まで半年を切るものになりますので、派遣の現場が混乱しないか心配ですね。
いずれにしても、今後の国会審議に注目したいものです。

法案の詳細は次のURLをご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/187.html

10月5日 最低賃金改定決定(大阪府)

大阪地方最低賃金審議会は、8月27日大阪労働局長に対し、大阪府最低賃金について、8月11日の答申通り決定することが適当であるとの答申を行いました。

これにより、大阪府の裁定委賃金は、予想通り、19円引上げの時間額838円に決定しました。

注目の効力発生日は、平成26年10月5日と決定されました。

大阪労働局は、9月5日に改正決定及び官報公示を行い、30日後の10月5日から大阪府最低賃金が838円に引き上げられる予定としています。
正式には、官報公示の際に改めて発表されます)

10月5日以降は、大阪府内で労働者を使用するすべての事業場で働く労働者にこの最低賃金が適用されることになりますので、最低賃金を割り込んでいる事業場の事業主各位は対応する必要があります。

お早目のご準備をお勧めします。

近隣府県の状況は以下の通りです。

京都府 789円 前年比 +16円  平成26年10月22日効力発生日(予定)
奈良県 710円 前年比 +14円  平成26年10月3日効力発生日(予定)
兵庫県 776円 前年比 +15円  平成26年10月1日効力発生日(予定)
和歌山 715円 前年比 +14円  効力発生日未公表

プレスリリースはこちら→http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/osaka-roudoukyoku/H26/teirei/2608-3.pdf

ブラック企業 相談窓口 開設

厚生労働省は、夜間や休日に電話で無料の『労働条件相談ほっとライン』を9月1日に開設するそうです。

主たる目的は、過酷な労働条件で若者らを使い捨てる『ブラック企業』対策ということで、本人のみならず家族や友人等誰でも利用できるようです。

ほっとラインの受付時間帯は、水曜日以外の平日が午後5時~10時、土日が午前10時~午後5時で、弁護士や社会保険労務士等労働問題に詳しい相談員が対応するとのことです。
設置期間は来年(平成27年)3月末までということです。

いわゆる『ブラック企業』と言われる会社に現役で勤めている若者たちにとって、都道府県労働局が開庁している平日の昼間にはなかなか相談窓口に電話ができないと思いますので、夜間や休日に相談ができることは非常に好ましいことと思います。

こういった政策が功を奏して使い捨てになる若者が一人でも減ることを期待したいところです。

  フリーダイヤル 0120-811-610
  受付時間帯は、平日(水曜日除く):午後5時~午後10時、土日:午前10時~午後5時
  (年末年始はお休みになるようです。)

パンフレットはこちらから→http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000035v78-att/2r98520000035v8p_1_2_1.pdf

大阪府 最低賃金改正決定に係る答申が発表されました。

本日(平成26年8月11日)開催されました「大阪地方最低賃金審議会」において、大阪府下の全労働者に適用される「大阪府最低賃金」の改正決定ついての答申がありました。

答申の内容は、「時間額を838円に引き上げること(19円の引上げ)が適当である。」といものでした。

大阪労働局長は、同日付けでこの答申の要旨を公表し、関係労働者及び関係使用からの異議申出(申出期限:平成26年8月26日)に関する手続きを経て改正決定を行う予定とのことです。

順調に進めば、8月末には最低賃金の改定が決定する運びになり、例年同様10月頃の施行となることが予想されます。

東京の19円引上げ(最低賃金888円)に引き続いて、先日の中央最低賃金審議会の改定目安通りの額での答申となりましたので、他の地域でも同様に答申が出てくることが予想されます。

因みに、現時点で確認できた近畿地区での地方最低賃金審議会答申状況は次の通りです。

兵庫県 776円(15円引上げ)
奈良県 710円(14円引上げ)
三重県 753円(16円引上げ)

巷には最低賃金すれすれの時間給がまだ結構あると思いますので、事前に準備を始めておかれることをお勧め致します。

平成26年最低賃金改定の目安

この程、第42回中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられ、厚生労働省より発表がありましたのでご紹介します。

発表された内容を要約すると、各都道府県を四つのランクに分類し、各々の引上げ額の目安をそれぞれ次の通り決定しました。

Aランク・・・19円
千葉、東京、神奈川、愛知、大阪

Bランク・・・15円
茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島

Cランク・・・14円
北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡

Dランク・・・13円
青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

※因みに、昨年はAランク19円、Bランク12円、C・Dランク10円の目安でした。

また、生活保護水準と最低賃金との乖離については、北海道、宮城、東京、兵庫、広島の5つの都道県で発生していましたが、今回の答申の目安額で最低賃金が決定されれば、解消される見込みです。

なお、この中央最低賃金審議会の答申を受けて各最低賃金審議会で改定の審議が行われて実際の改定額が決定されますが、春闘等の結果を鑑みると答申に近い改定額で落ち着く可能性が高いと見るのが妥当でしょうか?

今後もこの結果を注視したいと思います。

ご参考までに厚生労働省の発表内容は次の通りです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000052740.html

労働者派遣法改正法案が廃案になりました。

Photo_2 第186回通常国会で「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」が提出・審議されていたのはご存知のことと思います。
当ブログでも、先般、法律案の概要をご紹介させていただきましたのでご覧になった方もいらっしゃるかと思います。

現時点の国会は自民党を中心とする巨大与党が牛耳っている状況ですので、あっさり成立になるものと予測していました。

実際、労働局の担当部署等で話しをうかがっているときも、雰囲気は既に法案が成立済みで来年の4月の施行に向けて準備に余念がないというような感じを受けたものでした。

しかし、結果は「廃案」でした。

時間切れによる「継続審議」扱いではなく、「廃案」でしたので少々驚いたところでした。

本件法案は、内閣提出の法案ですので、内閣の閣議決定を経たものですので、まさかの「廃案」というのが印象でした。
当ブログでも少々問題点のありそうな法案というのは書かせていただきましたが、成立することを前提で考えておりましたので、今後どのような扱いになるのかが気になります。

秋の臨時国会あたりでまた復活して再審議・成立になるのかなとも思いますが、改めて法案の今後について注目したいと思います。

非正規労働者の資格制度創設は正規雇用の動機づけになる?

6月7日、政府は非正規労働者を対象とした資格制度を創設する方針を固めたようです。
非正規労働者の待遇改善や正社員への登用を進めるためというのが、その目的だそうです。
主に接客能力等現場での「仕事ぶり」を評価する制度で、今後の『新成長戦略』に盛り込んでいくようです。
予定では平成27年の通常国会で『職業能力開発促進法』等を改正し、平成28年度からの導入を目指すとのことです。

具体的な資格は、非正規労働者の多い①流通業②派遣業③教育④健康の4業種で、接客等の対人サービスに従事する労働者を対象とする。
資格の認定は、厚生労働省から委託を受けた業界団体がこれにあたるようで、これまでに日本百貨店協会、日本生産技能労務協会、全国学習塾協会、日本フィットネス産業協会の4団体が政府の方針に応じた模様です。
非正規労働者がこの資格の取得により、正社員への登用や転職へのアピールポイントになることが期待されているようです。
なお、この4業種で制度を先行実施し、平成29年度以降は対象業界を広げていく方針ということです。

しかしながら、本当に政府が思っているようにこの制度が、非正規労働者のキャリアアップ・処遇改善に貢献するのでしょうか?

実際に始まってみないと評価はできませんが、労働市場における非正規労働者の現状を鑑み、この資格を保有していることが、雇う側の正社員登用の決め手になるでしょうか?
これまでも、労働能力に関わる資格制度はいくらでもありましたが、正規雇用の動機づけにつながったという評価はあまり聞いたことはありませんので、甚だ疑問と言わざるを得ませんね。

いずれにしても、資格認定業者だけが潤うようなものにならないことを祈る次第です。

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