変形労働時間制の一形態として、フレックスタイム制というものがあります。
フレックスタイム制とは、始業と終業の時刻を労働者自身が決定し、労働者自身のライフスタイルとの調和を図りながら、効率的に働くことを可能としながら、労働時間のスリム化を目指した制度と言えます。
一般的なフレックスタイム制は、モデル例のとおり1日の労働時間をコアタイム(必ず勤務する時間帯)とフレキシブルタイム(任意で勤務できる時間帯)とに分けています。
コアタイムは、設定が必須にはなっていませんので、全部の労働時間をフレキシブルタイムにしてもかまいません。
しかしながら、小生の経験上、『仕事の打ち合わせ』や『営業会議』など、みんなが顔を会わせる機会を作ることも企業には必要ですので、やはりコアタイムを設けることは大切なのかなと思います。
では、フレックスタイム制の導入はどのように進めればよいのでしょう。
【採用の要件】
(1)就業規則その他これに準ずるものにおいて、始業及び終業の時刻を労働者にゆだねることを規定する。
(2)労使協定で必要事項を協定する。
①対象となる労働者の範囲
②清算期間(1か月以内の期間に限る)
③清算期間中の総労働時間(清算期間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間を超えないこと)
④標準となる1日の労働時間
⑤コアタイム(定める場合)
⑥フレキシブルタイムに制限を設ける場合は、その時間帯の開始と終了の時刻
つまり、フレックスタイム制を導入するためには、就業規則での規定と労使協定での協定の両方の要件を満たす必要があります。
また、対象者個々で就労する時間が異なりますので、労働時間の過不足という問題も生じます。
超過した場合は、原則当月の賃金支払い時に清算する必要があり、特に法定労働時間を超過した場合は、割増賃金の対象となりますので注意しなければなりません。
逆に不足した場合は、この不就労時間を当月の賃金支払い時に控除する方法と、当月分の所定の賃金は当月分として支払い、不足分を翌月の労働時間に加算して労働させる方法があります。
ただし、建前上、翌月の総労働時間に加算する場合の加算できる限度はその月の法定労働時間の総枠の範囲内に限定されますのであまり現実的ではないかもしれません。
最後に、フレックスタイム制を導入したとしても、時間外労働協定(いわゆる36協定)や使用者の労働時間の把握義務は免除されるわけではありませんので、時間管理は正確に実施しなければならないということは同じと認識すべきと考えます。