Nishimoto労務クリニック

大阪市西区の社会保険労務士法人西本コンサルティングオフィスがご提供する労務問題に関するクリニックです。 労務相談のセカンドオピニオンとしてもお気軽にご利用いただけるような場にしたいと思っております。

2014年07月

起業準備中も「失業給付」が支給されることになります。

従来、起業準備中の離職者については、「自営業者」とみなし、雇用保険の失業等給付の内の「基本手当」は原則支給されないことが多かったことは、皆さん周知のことと思います。
このような起業の場合に雇用保険から受け取ることが期待できる給付は再就職手当程度に限定され、実際に起業準備中の無収入の時期に所得を補てんできるものは皆無でした。
しかし、今後は起業準備中の受給資格者についても、原則として支払うように運用を改めることになるようです。

サラリーマンが脱サラのために退職しても、急に現金収入が途絶えないようにして、起業を後押しすることを目的としているようです。

厚生労働省が、平成26年7月22日に、「求職活動中に創業の準備・検討をする場合」を基本手当の給付対象にすると通達が出したようで、早ければ7月末には起業準備中の方も基本手当の受給が出来るようになるかもしれません。

但し、①「事業許可の取得」や「事務所賃借の家賃交渉を始めた」という起業準備段階にあることと、②並行して求職活動もすることが給付の条件となります。
起業を準備するふりをして不正受給をしようとする人が出るのを防ぐのが主旨のようです。

やはり起業準備中の無収入状態や開業後間もなくの収入の不安定は、起業するという意欲を削ぐものですので、少しでも起業を目指す方の助けになれば意義のあるものと思いますね。

今後の運用改正がスムーズに進むことを期待したものです。

平成26年7月から協会けんぽの申請書の様式が変わります。

平成26年7月から協会けんぽの申請書・届出書の様式が刷新されます。

目的は、「見やすく」「わかりやすく」「記入しやすく」するためとのことで、健康保険給付申請書と各種届出書の大部分を一新することとしたそうです。

具体的には、以下の帳票が新様式変更となります。

健康保険給付関係

●健康保険限度額適用認定申請書
●健康保険高額療養費支給申請書
●健康保険傷病手当金支給申請書
●健康保険療養費支給申請書(治療用装具)
●健康保険療養費支給申請書(立替払等)
●健康保険出産手当金支給申請書
●健康保険出産育児一時金支給申請書
●健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書
●健康保険埋葬料(費)支給申請書

保険証再交付

●健康保険被保険者証再交付申請書
●健康保険高齢受給者証再交付申請書

任意継続関連

●任意継続被保険者資格取得申出書
●任意継続被保険者資格喪失申出書
●任意継続被扶養者(異動)届
●任意継続被扶養者変更(訂正)届

検診関連

●特定健康診査受診券申請書

以上の通り、主に被保険者自身が申請する書類が改定されたという感じでしょうか。

但し、経過措置として従来様式の帳票の使用も当面は容認されるようです。

詳しくは、協会けんぽがパンフレットを作成していますのでリンクを添付します。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/g5/brochure.pdf

また、7月からは協会けんぽのHPでもダウンロードができるとのことですので必要な方はネットからのダウンロードで取得してみてください。リンクは→https://www.kyoukaikenpo.or.jp/

「厚生年金加入逃れ対策」実行へ?

この程、政府は厚生年金に加入していない中小零細企業80万社を来年度(平成27年度)から特定し、加入させる方針を打ち出したようです。

国税庁が保有する所得税の源泉徴収している事業所に関するデータを年金機構に提供することにより、従業員の源泉徴収・納税処理を実施している事業所でありながら厚生年金保険の事業所としての適用をしていない事業所を特定するということになりそうです。

この方法は以前から議論されていた方法ですが、政府がいよいよ重い腰を上げたかなという印象を受けました。

国税庁の保有する所得税を納付している企業・事業所データは全国で250万か所あるようですが、厚生年金保険の保険料を納付している事業所の数は170万か所ですので、その差額80万か所が加入逃れをしている事業所ということになると見ているということのようです。

日本年金機構も従来から未加入企業への加入勧奨の取り組みを続けてきましたし、最近この活動に力を入れているという印象も受けますが、実際には加入逃れをしている企業・事業所への加入促進というのは困難な作業というのは容易に想像ができます。
これが、来年度以降は、法人企業でありながら税金は払っているのに社会保険料は支払っていないという裏付けを持って加入勧奨ができるというのが強みになり、より効率的な活動が展開できると予想できますね。

社労士の立場でこの記事を読んで、以前から厚生年金保険の調査などで厚生年金保険の適用企業・事業所に対しては定期的且つ厳しく資格取得等の調査を実施しているのに、本来加入すべき事業所でありながら適用していない適用逃れの企業に対する加入促進の作業は遅れているということで、少々不公平感を感じていましたので、今後厚生年金保険の事業が、より公平なものになることを期待したいと思います。

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