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先日、新聞紙上に厚生労働省が公的年金制度の見直しに入ったという記事が掲載されていました。

具体的な検討内容としては次のとおりです。
①国民年金保険料の納付期間を5年延長し原則65歳までとすること。
②厚生年金保険に加入するパート労働者を増やすこと。
③人口動態の変化に合わせて自動的に年金給付額を減らせるよう調整できるようにすること。

以上のようなことが掲載されていましたが、この検討は5年に一度実施することが定められている公的年金の財政検証作業の一環とのことでした。
この検討は平成26年内に改革案をまとめ、来年(平成27年)の通常国会への改正法案の提出を目指すということでした。
政府はこのほど消費税の税率アップにより社会保障財源の確保に一定の道筋を付けましたが、年金財政はなお厳しく平成24年度の収支では、収入総額43兆円に対して支出総額50兆円と約7兆円の赤字となっているそうです。
まだまだ積立金を取り崩して赤字の穴埋めをしている構造に変化は見られないということですので、この検討も致し方ないのかもしれません。

具体的なそれぞれの内容は、
①国民年金保険料の納付期間を65歳までとすること
 延長期間は原則5年とするが、いつまで納付するかはそれぞれの加入者が選択できるようにする。現在、厚生年金の受給開始年齢は引き上げている最中で男性平成37年、女性平成42年に引き上げが完了する。このスケジュールに合わせて納付期間を65歳に伸ばすという案のようです。
②厚生年金保険に加入するパートを増やすこと
 パート労働者の被保険者の加入要件は、週の労働時間が常勤者の概ね4分の3以上の場合となっていますが、先日の改正で従業員が501人以上の大企業について平成16年10月から週20時間以上、月収8.8万円(年収106万円)以上のパート労働者は加入要件を満たすことになります。
 今回の改正案では、中小企業も加入対象に加え、月収要件も5~6万円以上とすることで300万人の加入を目指すとしています。

公的年金制度の破たんが懸念されている状況下でこういった検討を進めることは当然と思いますが、どの検討項目を見ても、簡単には進まないように思われます。
国民年金保険料の納付期間の延長というのもよくわかりますが、実際には若い人の納付率が高まらない状況にあり、納付期間年数だけ延長することで解決できる問題ではないように思います。
また、パート労働者の加入要件の緩和については、一部業種の企業に相当多大な負担を強いることになりますので、抵抗は大きいと思われますし、パート労働者側も旦那の扶養範囲でパート収入を稼ぐという方々が多く、抵抗感は大きいのではないかと思われます。

年金制度の改革は必須ですが、この記事を読んで、付け焼刃の改革では根本的な解決には結びつかないのでは・・・
今後の検討状況に注目してまいりたいと思います。